父親と向き合う話、悩んだら正面からぶつかろう

職業病だ。

商談前のシミュレーションのように、

想定問答やシチュエーションを考えてしまう。

 

行きつけのバーテンダーの言葉がよぎる。

 

別の悩み事を聞いてくれた時だが、

「迷ったら、正々堂々、正面切って、ど真ん中」

 

文字にしたらなに言ってんのかよく分かんないけど、

ようは小細工しない、

うまくやろうとしない、

正直に話す、

というわけだ。

 

よし、今回もそれで行こう。

 

「決算書を見せてもらう」

「この事業をどうするか意向を聞く」

 

この2つをしようと決めた。

なんのことはない、仕事と同じだ。

 

 

「明日いるか?話がある」とラインした翌日、車を飛ばして、いざ実家へ。

 

お茶をすすりながら30分程度経ったろうか、言おうと思った。

なかなか言えなかった。

もしかしたら開けてはいけない箱かもしれない、

親父とは言え嫌がるかもしれない、など憶測が飛ぶ。

 

「逃げるんじゃない」と自分に言い聞かせ、

「あのさぁ〜・・」と切り出した

 

 

 

「コロナの影響は出ていないのか」

「経営は大丈夫なのか」

「素直に心配している」

「自分のキャリアの原点は実家が商売をやっていることだから、いまの仕事をしている。」

「おれも兄貴も心配している。」

 

親父は嬉しそうに「そうか、おまえら心配してくれてんのか」「そうかそうか、ありがとう」と言った。

 

「もし嫌でなければ、決算書見せてくれ。出来れば過去のものも全部」

 

「いいよ、事務所にあるからこっちこい。」

案外あっさりしてた。

 

移動中、一番聞きにくかったことを聞いた。

「兄貴もおれも違う仕事している。家族もいる。住む家も持ってしまった。生活がある。

それはつまり、事業を継がない、継ぐにしても形を変えないといけない、

継ぐということが現実的ではないということだ。

親父はどうすんだ、この事業。」

 

 

「ぃゃ、廃業だよ」

さっきまでニコニコしてたのが一気に真顔になった。

 

これ以上聞けなかった。

 

そうこうしてるうちに事務所についてしまった。

 

 

「決算書はここにあるから。昔のはあっちにぜんぶ置いてある。」